SMSが届かない固定電話での認証時に、企業ができる対処法
代替手段の選び方とフォールバック設計の基本
固定電話にSMSを送れない理由と、固定電話ユーザーへの対応策(電話認証・IVR認証・フォールバック設計)を整理しています。情シス・CS・サービス開発担当者が認証フロー設計の判断材料として使える内容です。
鈴木 伸吾(監修)
コミュニケーション・プラットフォームサービス部 部長
2026/05/29
SMS認証を使ったサービスを運用していると、固定電話番号を登録しているユーザーが認証コードを受け取れないケースが発生します。携帯電話番号への送信を基本としているSMSは固定電話には対応していないため届けることはできず、携帯電話番号を持っていなかったり何らかの理由で携帯電話を使えないユーザーは認証を行うことができません。
電話認証(IVR認証や着信番号認証)を代替手段として用意し、SMSが届かない場合に自動で切り替えるフォールバック設計を組み込むことで、固定電話ユーザーも認証が可能になります。
この記事では、固定電話にSMSが届かない理由・代替手段の特性・フォールバック設計の具体的な流れを整理します。認証フローの設計を検討している担当者が、社内判断の材料として使える内容を目指しました。
この記事が役立つ場面
- 固定電話ユーザーが認証コードを受け取れないケースへの対処を検討している
- SMS認証の代替手段として、電話認証・IVR認証の仕組みと違いを把握したい
- SMSが届かない場合の自動切り替え(フォールバック)フローをどう設計するか知りたい
- 社内稟議・ベンダー選定の前に、代替手段の選択肢を整理しておきたい
なぜ固定電話にSMSは届かないのか
SMSは、携帯電話網の信号チャネル(制御信号線)を使ってメッセージを送受信する仕組みです。固定電話は音声回線で動作しており、この信号チャネルに対応していません。そのため、固定電話番号にSMSを送っても受信側には何も届かず、送信ステータスは「不達(undelivered)」として返ってきます。
IP電話(050番号など)も同様です。音声回線との互換性を優先して設計されているため、SMS受信機能は持っていません。つまり、「固定電話でもSMSを受け取れるようにする」という方向での解決策はなく、企業側が代替手段を用意することが前提となります。
固定電話ユーザーへの代替手段は2種類ある
SMS認証が使えない固定電話ユーザーに対して、現実的に使われている代替手段は電話認証の2方式です。
| 方式 | 仕組み | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 着信番号認証 | ユーザーが登録番号から指定番号へ電話をかけ、着信番号で本人確認する | 固定電話・携帯電話どちらにも対応したい場合 | ユーザー側から発信する手間がかかる |
| IVR認証(音声コード通知) | IVRシステムからユーザーの番号へ自動発信し、認証コードを音声で読み上げる | 既存SMS認証と近い操作感で代替したい場合 | 音声の聞き取りミス・周囲への漏洩に注意 |
着信番号認証:ユーザーが電話をかけて本人確認
ユーザーが登録済みの電話番号から、サービス側が指定した番号へ電話をかけます。システムが着信番号を自動照合し、一致すれば認証完了です。
固定電話でも携帯電話でも利用でき、コードの入力や聞き取りが発生しません。ただし、「ユーザーが自分で電話をかける」という操作が必要なため、手順の案内が分かりやすくないと途中離脱につながります。
関連記事:着信番号認証(電話認証)の仕組みと使いどころ——SMS認証との違いまで
IVR認証:システムから自動発信し、音声でコードを通知
IVRシステムからユーザーの登録番号へ自動発信し、認証コードを音声で読み上げます。SMS認証に近い操作感(コードを受け取って入力する)で代替できるため、ユーザーへの説明コストが低くなります。
一方、音声の聞き取りミスや、コードを周囲に聞かれるリスクがあります。読み上げ速度・繰り返し回数の設計と、「再通知」ボタンの用意が重要です。
フォールバック設計:SMSが届かないとき自動で切り替える
代替手段を用意するだけでなく、「SMSが届かなかったときに自動で切り替える」フォールバック設計を組み込むことで、ユーザーが手動で別手段を選ぶ手間をなくせます。認証完了率の維持に直結する設計です。
| ステップ | 処理 | 実装上のポイント |
|---|---|---|
| 1. 番号判定 | 入力された番号が固定電話(0X0以外)か携帯電話かを自動判定する | 固定番号と判定された場合はステップ2〜3をスキップして電話認証へ直行 |
| 2. SMS送信 | 携帯番号宛てにSMSを送信する | キャリアからのステータスコード取得を必須実装とする |
| 3. 不達検知 | 送信後60秒間、SMSの到達ステータスを監視する | undelivered または failed を検知した時点でステップ4へ移行 |
| 4. 電話認証へ切り替え | IVRシステムから入力番号へ自動発信する | 画面に「SMSが届きませんでした。お電話で認証コードをご案内します」と案内を表示 |
| 5. 音声で認証コード通知 | 自動音声でコードを読み上げる | 読み上げ速度・繰り返し回数を最適化。再通知ボタンの用意 |
| 6. 認証完了 | 入力コードとシステム側コードを照合。一致で認証完了 | コードに有効期限を設定。タイムアウト時の「再送リクエスト」の用意 |
- 設計上の注意
IVR自動発信に使う発信元番号(050・0120など)はサービスの仕様に合わせて選定してください。番号の種類によって、ユーザーが着信を取る確率が変わります。
SMS認証が主流であり続ける理由
固定電話への非対応という制約がありながら、SMS認証が多くの企業で使われ続けているのには実務的な理由があります。
- 到達率と開封率が安定している
メールのように迷惑フォルダへ振り分けられることがなく、認証コードが確実に届きます。SMS到達率は90%以上(※当社調べ)と高く、認証の途中離脱を防ぎやすい特性があります。 - 企業側の導入・運用コストが低い
API連携で既存システムに組み込めるため、専用設備や大規模なリソースが不要です。初期コストを抑えながら短期間で導入できます。 - ユーザー操作がシンプルで定着しやすい
専用アプリのインストール不要、届いたコードを入力するだけです。デジタル操作に不慣れなユーザーでも迷いにくく、年代・環境を問わず使われています。
総務省の調査によると携帯電話・スマートフォンなどのモバイル端末の世帯所有率が90%を超えているため、ごく一部のパターン以外はSMSによる認証が可能だと考えられます。そのためSMS認証を基本に置き、固定電話ユーザーへの対応はフォールバック設計で補完するというアプローチが、現状では最もバランスがとれています。
NTT CPaaSで実現できること
NTT CPaaSは、SMS認証・着信番号認証・IVR認証をAPIで統合して提供するプラットフォームです。固定電話番号を入力したユーザーには電話認証を、携帯電話ユーザーにはSMS認証を自動振り分けする認証フローを、単一のAPIで組み込めます。
キャリア直接接続(国内直収)に対応しており、到達率と速度が安定しています。NTTグループの安定した品質と開発者向けスタートアップガイドで、初めての導入でも安心して運用できます。
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よくある質問
固定電話にSMS認証コードを送れますか?
送れません。固定電話はSMSの信号チャネルを受信する機能を持たないため、技術的に届きません。代替手段として電話認証(IVR認証・着信番号認証)が有効です。
フォールバック設計とは何ですか?
SMS認証が不達だった場合に、自動でIVR認証へ切り替える設計のことです。固定電話・圏外・SMS非対応回線のユーザーも認証を完了でき、認証完了率の維持につながります。
固定電話ユーザーが多い場合、最初から電話認証のみにすべきですか?
ユーザー全体における固定電話の割合によります。大多数が携帯電話であれば、SMS認証を基本にフォールバックで固定電話に対応する設計が運用コストのバランスが取れます。固定電話比率が高い場合は電話認証を主軸にすることも検討してください。
まとめ
固定電話にSMSが届かないのは技術的な制約であり、企業側での代替設計が必要です。
対処の基本は2点です。1つは固定電話ユーザー向けに電話認証(着信番号認証またはIVR認証)を用意すること。もう1つは、SMSが不達だったときに自動で電話認証へ切り替えるフォールバック設計を組み込むことです。
SMS認証は到達率・導入コスト・ユーザー操作の面でバランスが良く、引き続き主軸として使い続けるのが現実的です。固定電話対応はフォールバックで補完する設計が、多くの企業にとって妥当な判断です。
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コミュニケーション・プラットフォームサービス部 部長
「NTT CPaaS」の事業責任者および技術統括として、APIを活用した企業のDX推進とコミュニケーション変革を牽引。NTTグループの通信基盤を活かした次世代プラットフォームの構築を指揮している。 また、通信の利便性と安全性を両立させる専門家として、フィッシング対策協議会のメンバーに参画。詐欺情報の分析や被害抑制に向けた活動を通じ、安心・安全なデジタル社会の実現に寄与している。
「NTT CPaaS」の事業責任者および技術統括として、APIを活用した企業のDX推進とコミュニケーション変革を牽引。NTTグループの通信基盤を活かした次世代プラットフォームの構築を指揮している。 また、通信の利便性と安全性を両立させる専門家として、フィッシング対策協議会のメンバーに参画。詐欺情報の分析や被害抑制に向けた活動を通じ、安心・安全なデジタル社会の実現に寄与している。
2026.05.29