音声ガイダンスで電話対応を自動化する——仕組み・例文・導入の判断基準

IVR・営業時間外案内・混雑時対応の3パターンと、そのまま使える例文
電話対応の自動化を検討している企業向けに、音声ガイダンス(IVR)の仕組み・3つの活用パターンとそのまま使える例文・向いている企業と向いていない企業の違い・設計上の注意点・サービスの選び方を整理しています。

鈴木 伸吾(監修)

鈴木 伸吾(監修)

コミュニケーション・プラットフォームサービス部 部長

「スタッフが一日中電話対応に追われて、本来の仕事が進まない」「休日や夜間に取れなかった電話から、そのまま失注が続いている」——こうした状況を改善する手段として、音声ガイダンス(IVR)の導入を検討する企業が増えています。

音声ガイダンスは、電話の着信時に録音音声やAI合成音声を流し、顧客を適切な窓口へ案内したり、必要な情報を自動で提供したりする仕組みです。「お電話ありがとうございます。ご用件に合わせて番号を押してください」という音声案内を利用したことがあるのではないでしょうか。

この記事では、音声ガイダンスで何ができるか・どんな企業に向いているか・3つの活用パターンとそのまま使える例文・選定ポイントを実務目線でまとめています。

音声ガイダンスが向いている企業・向いていない企業

音声ガイダンスは、一定以上の入電数があり、かつ定型の問い合わせ(営業時間の確認・担当部署への振り分け・よくある質問への案内)が多い企業で効果が出やすいです。逆に、入電数が少なく個別対応が中心の業務には向きません。

状況・条件 補足 向いているか
月間入電数が多く、一次受けにスタッフの時間が取られている 入電50件/日以上が目安。それ以下は費用対効果が出にくい 〇向いている
「営業時間は?」「担当部署はどこ?」などの定型問い合わせが多い 定型問い合わせを自動化するだけでも対応工数が大きく減る 〇向いている
24時間・365日の受け付けが必要な業種(EC・医療・不動産など) 夜間・休日の取りこぼし防止に直結する 〇向いている
高齢者・固定電話ユーザーへの対応が必要 スマホ操作が不要なため、幅広い顧客層に使える 〇向いている
入電数が少なく、個別対応の比率が高い 設備コストに対してROIが出にくい △向いていない
顧客との丁寧な関係構築が最優先の業務 機械音声は温度感のある対話を代替できない △向いていない

音声ガイダンスとIVRの関係

音声ガイダンスは、IVR(自動音声応答システム)が再生する音声コンテンツのことです。「IVRを導入する」とは「音声ガイダンスを含む自動応答システム全体を導入する」ことを意味します。

用語 定義 関係
IVR(自動音声応答) 着信を自動受付し、音声案内とプッシュ操作で振り分けるシステム全体 上位概念
音声ガイダンス IVRが再生する音声コンテンツそのもの IVRの一要素
ビジュアルIVR スマートフォン画面でメニューを選ぶWeb型の拡張機能 IVRの発展形

3つの活用パターンとそのまま使える例文

図:3つの活用パターンとそのまま使える例文

音声ガイダンスの使い方は大きく3つに分かれます。自社の課題に近いパターンを参考にしてください。

1. 代表電話の自動振り分け(IVR)

最もよく使われるパターンです。着信した電話を自動音声で受け付け、プッシュ操作(「1番を押してください」)で用件を確認してから担当部署へつなぎます。スタッフが一次対応・取り次ぎに費やしていた時間がほぼなくなります。

設計のコツは選択肢を最大でも4つまでに絞ることです。それ以上になると途中で電話を切られやすくなります。「0番を押すとオペレーターへ」という逃げ道を必ず用意してください。案内は15秒以内が目安です。

【例文】代表電話の振り分け

お電話ありがとうございます。〇〇株式会社でございます。恐れ入りますが、ご用件に合わせて番号を入力してください。新規のご契約は1番を、ご契約中のお客様は2番を、その他のお問い合わせは3番を押してください。担当者に直接おつなぎする場合は0番を押してください。

鈴木 伸吾

鈴木 伸吾 (監修)

ビジュアルIVRとの組み合わせ
複雑なメニューや詳細な案内が必要な場合、音声ガイダンスの途中でSMSを自動送信してスマートフォン画面での選択に切り替える「ビジュアルIVR」と組み合わせると効果的です。音声を聞き続ける手間がなくなり、FAQへの自己解決誘導もできます。

2. 営業時間外の自動案内(留守電)

夜間・休日・昼休憩など、スタッフが電話に出られない時間帯に自動で音声を流す設定です。単につながらないまま終わるのではなく、「いつかければ繋がるか」「他の連絡手段はあるか」を伝えることで、顧客の不満をかなり軽減できます。

SMSでWebフォームのURLを自動送信する設定を併用すると、24時間の問い合わせ受け付けが実質的に実現できます。

関連記事:IVR×SMS連携で電話対応を自動化する方法|仕組み・他チャネルとの違い・導入判断・サービスの選び方

【例文】営業時間外の案内

誠に恐れ入りますが、ただいまの時間は営業時間外となっております。営業時間は平日の午前9時から午後6時までとなっております。恐れ入りますが、営業時間内にお掛けなおしいただくか、弊社ホームページのお問い合わせフォームよりご連絡をお願いいたします。ホームページのアドレスはSMSにてご案内いたします。

3. 混雑時の待ち案内

キャンペーン実施中や繁忙期など、入電が集中する時間帯に「待ち時間の目安」「折り返し予約の案内」「Webへの誘導」を自動で伝える設定です。「ただ待たされる」状態から「待ち時間が分かる」「選択肢がある」状態に変えることで、途中で電話を切られる確率を下げられます。

【例文】混雑時の案内

ただいま電話が大変混み合っております。恐れ入りますが、このままお待ちいただくか、しばらくしてからお掛けなおしください。おつなぎできるまでの待ち時間は約3分の見込みです。お急ぎの方は弊社Webサイトの『よくある質問』もご活用ください。折り返し連絡をご希望の方は1番を押してください。

導入後、現場はどう変わるか

音声ガイダンスを入れた後に最初に変わるのは「スタッフが電話を取ってから実際の用件の話をするまでの時間」です。一次受けと取り次ぎの手間がなくなり、最初から用件がわかった状態で対話が始まります。

また、24時間受け付けになることで、夜間・休日の問い合わせが翌営業日にまとめて入電するパターンが減ります。その分スタッフが朝から緊急対応を強いられる頻度も下がります。

入電データも蓄積されるので、どの時間帯に入電が集中するか・どのメニューで離脱が多いか・どんな用件が多いかが数字で見えるようになります。シナリオの改善が感覚ではなく、データで判断できるようになるため、応対改善はもちろんFAQやサービスそのものの改善につなげることができます。

一方で、定型対応を自動化すると、オペレーターに回ってくる案件は「自動では解決できなかった」ものに絞られます。つまり有人対応の平均難易度が上がります。浮いたリソースを高度な対応に振り向けるという発想で設計しないと、「楽になった実感がない」という状況になりやすいです。

音声ガイダンス+SMS連携でできること

音声ガイダンスにSMS連携を組み合わせると、音声では伝えにくい情報を文字として手元に残すことができます。

「音声ガイダンスで案内 → 通話中にSMSを自動送信 → 顧客がSMS内のリンクから手続きを完結」という流れです。住所・URL・手順番号など「聞いただけでは覚えにくい情報」をSMSで補完することで、顧客の聞き直し・再入電が減ります。SMSの開封率は90%以上(※当社調べ)と高く、Webへの誘導も自然につながります。

一方で、SMS送信は従量課金のため、送信件数が増えるほどコストが積み上がります。「どの案内でSMSを送るか」をあらかじめ設計しておくことで、費用対効果を管理しやすくなります。

サービスを選ぶときに見るべきポイント

図:サービスを選ぶときに見るべきポイント

「安定性・セキュリティ・料金」はどのサービスでも共通の確認事項です。ここでは音声ガイダンス・IVR特有の確認ポイントに絞ります。

①ガイダンスを現場担当者が即日変更できるか

キャンペーン開始・担当部署の変更・緊急の休業案内など、ガイダンスを変えたいタイミングは突然おこります。変更のたびに外部委託が必要な設計だと、対応に数日から数週間要することがあります。ガイダンス変更が必要な際に担当者が自ら設定ができるか、管理画面の操作は複雑ではないか、不明点があったときにサポートが整っているかを確認してください。

②国内キャリアと直接接続しているか(国内直収)

海外回線を経由するサービスでは、音声の遅延や品質の不安定が起きやすくなります。国内の主要キャリアと直接接続(国内直収)しているサービスは通話品質が安定しています。

③CRM・他システムとの連携設計の柔軟性

顧客情報を参照しながら動的に振り分けたい・通話終了後にCRMへ自動記録したいという要件がある場合、WebhookやAPIのイベント粒度(どのタイミングで何の情報が取得できるか)が重要です。「入電があったこと」だけしかログに残らないサービスだと、後のCRM連携設計に限界が出ます。

④音声品質と音声作成のしやすさ

音質が悪い・機械音声が不自然だと、顧客が「間違った電話番号にかけてしまったかも」「怪しい電話かも」と思って電話を切ってしまいます。AI合成音声(TTS)の品質は近年大きく改善されていますが、サービスによって差があります。実際の音声サンプルを確認してから選ぶことをおすすめします。肉声録音をアップロードできるサービスであれば、より温度感のある案内が可能です。

鈴木 伸吾

鈴木 伸吾 (監修)

ログの可視性も確認が必要です。着信から切断までの流れをリアルタイムで把握できないと、トラブル発生時の原因特定に時間がかかります。APIログが詳細に取れるか、管理画面でリアルタイムにモニタリングできるかを選定前に確認してください。

コミュニケーション・フロービルダー「Moments」について

「Moments」は、IVR(音声自動応答)を含む各種メッセージングサービス(SMS・Voice・メールなど)をノーコードで組み込めるフロービルダーです。ドラッグ&ドロップの直感操作で、担当者が直接フローを構築・修正。開発のリードタイムゼロで、現場主導のスピード感ある運用が可能です。

0120・050等の国内番号に対応し、設定代行を含むスムーズな立ち上げを支援する日本語サポートを提供しているため、導入初日から迷わず運用できます。

サービス
NTT CPaaS NTT CPaaS

▶ コMoments(コミュニケーション・フロービルダー)- ノーコードで始める業務連絡の自動化

「Moments」は、IVR(音声自動応答)を含む各種メッセージングサービス(SMS・Voice・メールなど)を高度に融合させ、顧客との双方向コミュニケーションを自動化するプラットフォームです。

まとめ

音声ガイダンスが効果を発揮するのは、入電数が多く・定型問い合わせの割合が高く・24時間対応が必要な企業です。月間入電が少ない・個別対応が中心という場合は、費用対効果が出にくいことがあります。

活用パターンは「代表電話の振り分け」「営業時間外の自動案内」「混雑時の待ち案内」の3つが基本で、SMS連携を組み合わせると、情報の正確性が上がり再入電が減ります。

サービス選定では機能の充実度よりも、「ガイダンスを現場で即日変更できるか」「国内キャリア直収か」「CRM連携のAPIが柔軟か」の3点を先に確認することをおすすめします。

よくある質問

Q1.

音声ガイダンスとIVRは同じですか?

A.

音声ガイダンスはIVRシステムが再生する音声コンテンツのことです。「IVRを導入する」とは「音声ガイダンスを含む自動応答システム全体を導入する」ことを意味します。

Q2.

例文の原稿はどう作ればいいですか?

A.

案内は1つあたり15秒以内・選択肢は4つに絞るのが基本です。「目的を先に言ってから番号を案内する」形式(例:「契約内容の確認は1番を」)が聞き取りやすく、顧客のストレスを軽減します。本記事の例文をそのまま活用してください。

Q3.

高齢者が多い顧客層でも使えますか?

A.

工夫次第で使えます。ゆっくりとした落ち着いたトーンの音声を採用し、番号を押さなかった場合は自動的にオペレーターへ転送する設定にすることで、不慣れなユーザーへの配慮が可能です。

NTT CPaaSを、
60日間無料でお試しください

・SMS・Voice・メールを本番同様に無料で検証
・全API機能に即日アクセス有料プランと同一環境
・国内開発者向けに最適化された日本語ガイド

無料トライアル

監修者 鈴木 伸吾(監修)
この記事の監修 鈴木 伸吾(監修)
NTTドコモビジネスX株式会社
コミュニケーション・プラットフォームサービス部 部長

「NTT CPaaS」の事業責任者および技術統括として、APIを活用した企業のDX推進とコミュニケーション変革を牽引。NTTグループの通信基盤を活かした次世代プラットフォームの構築を指揮している。 また、通信の利便性と安全性を両立させる専門家として、フィッシング対策協議会のメンバーに参画。詐欺情報の分析や被害抑制に向けた活動を通じ、安心・安全なデジタル社会の実現に寄与している。

「NTT CPaaS」の事業責任者および技術統括として、APIを活用した企業のDX推進とコミュニケーション変革を牽引。NTTグループの通信基盤を活かした次世代プラットフォームの構築を指揮している。 また、通信の利便性と安全性を両立させる専門家として、フィッシング対策協議会のメンバーに参画。詐欺情報の分析や被害抑制に向けた活動を通じ、安心・安全なデジタル社会の実現に寄与している。

目次
  1. 音声ガイダンスが向いている企業・向いていない企業
  2. 音声ガイダンスとIVRの関係
  3. 3つの活用パターンとそのまま使える例文
  4. 導入後、現場はどう変わるか
  5. 音声ガイダンス+SMS連携でできること
  6. サービスを選ぶときに見るべきポイント
  7. コミュニケーション・フロービルダー「Moments」について
  8. まとめ

2026.06.08