架電効率を上げる方法|施策の優先順位と自動化の判断基準

架電数を増やしても成果が出ない原因はたいてい件数ではありません。接続率・アポ率・後処理時間のどれが問題かを特定する診断表と、すぐ着手できる運用改善・自動化の判断基準・システム選定の4つの確認ポイントを解説します。

鈴木 伸吾(監修)

鈴木 伸吾(監修)

コミュニケーション・プラットフォームサービス部 部長

架電数を増やしているのに成果が伸びない状況は、たいていの場合、件数の問題ではありません。リストの精度が低い、スクリプトが刺さらない、タイミングが悪い——どれか一つが欠けていると、件数を増やすほど担当者の疲弊だけが積み上がります。

施策を検討するときに最初に考えたいのは「何から手をつけるか」の優先順位です。システム導入を急ぐ前に、運用改善で解決できることは多くあります。一方で、月間架電件数が一定を超えると、人の手では対応しきれなくなり、自動化なしに改善が難しくなります。

この記事では、施策を「すぐ着手できるもの」と「システム投資が必要なもの」に分けて整理します。自動架電システムの導入判断と選び方も、実務の視点でまとめました。

この記事はこんな方へ

  • 架電数は多いのにアポが増えない原因を特定したい
  • 自動架電システムの導入が今の規模で必要かどうか判断したい
  • CRM連携・通話品質・SMS連携など、システム選定の確認ポイントを整理したい

まず「どこが問題か」を数字で特定する

架電効率を上げるための施策は複数ありますが、全部同時にやる必要はありません。現状の数値を見れば、どこに問題があるかはほぼ特定できます。

症状 原因として多いもの 最初に手をつける施策
接続率が低い(20%以下) 時間帯がずれている・番号の信頼性が低い 架電時間帯の見直し・リストの精査
接続はできているがアポが取れない スクリプトが弱い・担当者のスキルにばらつきがある スクリプトの見直し・ロールプレイングの強化
件数が増やせない・担当者が疲弊している ダイヤル・後処理(ACW)に時間を取られている 自動ダイヤル・CRM連携による後処理の自動化
接続率・アポ率ともに改善しない リストの質が根本的に低い リストのスコアリング・属性絞り込みの見直し
鈴木 伸吾

鈴木 伸吾 (監修)

単なる発信数ではなく「実通話時間÷稼働時間」の比率で現状を把握することを推奨します。現場では、リスト準備や後処理(ACW)に稼働時間の多くを費やしているケースが少なくありません。「どこに時間がかかっているか」を特定できれば、施策の優先順位は自然に絞れます。

すぐ着手できる運用改善——3つの基本

システム投資なしに着手できる改善施策は、大きく3つです。効果が出るまでの時間が短く、コストをかけずに試せます。

① リストの精査

リストの質は、接続率とアポ率の両方に直接影響します。過去の成約データや問い合わせ履歴をもとに「成約しやすい属性」を洗い出して絞り込むのが基本です。重複・古いデータは定期的に削除します。

CRMを使っていれば、過去の対応履歴と架電結果を紐付けることでスコアリングができます。「このリストは接続率が高い」「このセグメントはアポに転換しやすい」という傾向が数字で見えてきます。

② スクリプトの改善

最も費用対効果が高い施策のひとつです。アポ率が高い担当者のトークを書き起こし、うまくいっている話し方・言い回しをスクリプトに反映するだけで、担当者間のばらつきが縮まります。

「最初の15秒で何を伝えるか」が接続からアポへの転換を左右します。導入文を複数パターン用意して、週単位でA/Bテストを回すと改善サイクルが回しやすくなります。

③ 架電時間帯の最適化

接続率は時間帯によって大きく変わります。業種ごとの目安は以下のとおりです。

業種・対象 避けるべき時間帯 推奨時間帯
一般企業(BtoB) 9〜10時(朝礼・メール確認)・17時以降 10〜11時半、13〜15時
飲食店 11〜13時(仕込み・ランチ)・17時以降(夕食準備) 14〜16時
個人・消費者向け 平日9〜17時(就業中) 平日17〜20時、土日午前

過去の通話データを曜日・時間帯別に集計すると、自社の接続率ピークが見えてきます。月次でデータを確認して時間帯を調整するだけで、同じ件数でも接続数が変わります。

鈴木 伸吾

鈴木 伸吾 (監修)

リードが発生したタイミングに近いほど接続率・アポ率が上がる傾向があります。CRMでリードの問い合わせタイミングを記録し、担当者への通知トリガーを設定することで、このタイムラグを短縮できます。

1〜2ヶ月かけて仕組みをつくる改善

効果が出るまでに時間がかかるが、定着させると継続的な改善につながる施策です。

ロールプレイングの定期実施

スクリプトを用意しても、担当者が使いこなせなければ意味がありません。アポ率が高い担当者のトークを教材にして、週1回程度のロールプレイングを習慣化します。「断り文句への返し方」「アポへのクロージングのタイミング」を繰り返し練習することで、担当者間のばらつきが縮まります。

KPIの設定と週次の改善サイクル

感覚で改善を進めると、どの施策が効いたかわからなくなります。最低限、以下の4指標を週次で記録して可視化してください。

指標 計算方法 改善の目安
接続率 接続数 ÷ 架電数 業種によるが20〜35%が一般的な目安
アポイント獲得率 アポ数 ÷ 接続数 5〜10%を基準に、スクリプト・担当者別で差異を分析
後処理時間(ACW) 1架電あたりの記録・入力時間 2分以内を目標に。CRM連携で短縮できる部分を特定する
有効稼働率 実通話時間 ÷ 総稼働時間 50%を下回る場合、ダイヤル・後処理の自動化を検討

自動架電システムが必要になるタイミング

運用改善を進めても「人手が足りない」「件数の壁を超えられない」という状況になったとき、自動架電システムが現実的な選択肢になります。

状況 おすすめの対応
月間架電件数が1,000件・担当者4名以下 まず運用改善を優先。スクリプト・リスト・時間帯の最適化でカバーできる範囲
月間架電件数1,000〜5,000件・担当者5名以上 自動ダイヤル(プレディクティブ/プレビュー)の導入を検討。CRM連携でACWを圧縮
月間架電件数5,000件以上・コンタクト率(=接続率)が課題 オートコール+IVR+SMS連携で自動化。有人対応をアポ確定後に絞る設計が現実的
担当者の入れ替わりが多く品質が安定しない スクリプト共有・録音・評価機能を持つシステムで品質の属人化を防ぐ

自動架電が「不要なケース」もあります。月間架電数が少ない・BtoB大手向けの少数精鋭営業・対象リストが数十件規模の場合は、システム投資よりも担当者のスキルアップと時間帯の最適化のほうが費用対効果が高くなります。

関連記事:自動架電(オートコール)とは|仕組み・向いている企業・サービス選定の基準

自動架電システムを選ぶ4つの確認ポイント

図:自動架電システムを選ぶ4つの確認ポイント

機能の多さより「自社の運用に合うか」で選ぶのが基本です。

確認ポイント 内容と判断の観点
① CRM・SFAとのAPI連携(最重要) 架電リストの自動取得・通話結果の自動記録・SMS自動送付がCRMから一連のフローで動くかを確認。連携が不十分だと通話結果の手動入力という二重作業が発生し後処理(ACW)時間が増加する
② クラウド型かオンプレか 小〜中規模はクラウド型が現実的(導入最短数日・月額数万〜十数万円程度)。大規模・既存システムへの深い連携が必要な場合はオンプレを検討するが、初期費用と保守コストが大きくなる
③ 通話品質 パケットロスによる音声の途切れは成約率に直接影響する。「冗長化されたネットワーク構成か」「音声品質のSLAが明記されているか」を選定時に確認する
④ SMS連携機能の有無 「架電→不在→SMSでURLを送る」という流れはコンタクト率(=接続率)向上に効果的。IVRとSMS送信を同一フローで管理できるか、SMS送信の費用が別途かかるかを確認する

導入事例:連絡時のタイムロスを減らし、業務効率や顧客満足度の向上を目指す

鈴木 伸吾

鈴木 伸吾 (監修)

技術選定では「CRM連携の柔軟性(API)」を最優先すべきです。CRM連携が不十分だと、データの二重入力が担当者の稼働を継続的に圧迫します。また、低価格帯のツールは通話品質が不安定で成約率を下げるリスクがあります。将来的なボイスボット・チャットボットの統合も見据えた拡張性も選定基準に入れることをお勧めします。

まとめ——架電効率改善の優先順位

架電効率を上げるために最初にすべきことは、「どこが問題か」を数字で特定することです。接続率・アポ率・後処理時間のどれが低いかで、手をつける施策が変わります。

  • 月間架電1,000件以下:リスト精査・スクリプト改善・時間帯の最適化で対応できるケースがほとんど。システム投資より先に運用改善を
  • 月間架電1,000〜5,000件:自動ダイヤルとCRM連携でACWを圧縮。有効稼働率50%を目標に改善する
  • 月間架電5,000件以上:オートコール+IVR+SMS連携で有人対応をアポ確定後に絞る設計が現実的

システムを選ぶときは、CRM連携の柔軟性と通話品質を最優先で確認してください。低価格帯ツールを選んで通話品質の問題で成約率が落ちるケースは、現場でよく起きます。

サービス
NTT CPaaS NTT CPaaS

▶ オートコール×オムニチャネル | 顧客へ自動一括架電| NTT CPaaS

オートコール×オムニチャネルで、業務効率化とコスト削減を実現。オムニチャネルで連絡業務の完了率を最大化し、IVR電話案内からSMS・メール自動送信までノーコードで柔軟に構築、督促や契約更新などの定型業務を自動化。

よくある質問

Q1.

接続率の平均はどのくらいですか?

A.

業種や対象リストによりますが、BtoBテレアポで20〜35%が一般的な目安です。これを下回る場合は時間帯の見直しまたはリストの精査から始めるのが効果的です。

Q2.

自動架電システムを導入してすぐ効果が出ますか?

A.

ダイヤル工数と後処理(ACW)の削減効果は導入直後から出ます。ただしアポ率・成約率の改善には、スクリプトとリストの質が前提条件です。システムを入れる前にスクリプトと架電時間帯の最適化を先に進めておくことを推奨します。

Q3.

テレアポに関する法規制はありますか?

A.

特商法の規制と、電気通信事業法による発信者番号の通知義務が主な確認項目です。特にオートコールで広告・勧誘を行う場合は、オプトアウト受付窓口の設置が必要です。導入前にサービス事業者に確認してください。

Q4.

CRM連携なしでも使えますか?

A.

使えますが、通話結果の手動入力が発生し後処理工数が増加します。月間1,000件以上の規模になると、この二重作業が積み上がって担当者の稼働を圧迫します。CRM連携を前提に選定することを推奨します。

NTT CPaaSを、
60日間無料でお試しください

・SMS・Voice・メールを本番同様に無料で検証
・全API機能に即日アクセス有料プランと同一環境
・国内開発者向けに最適化された日本語ガイド

無料トライアル

監修者 鈴木 伸吾(監修)
この記事の監修 鈴木 伸吾(監修)
NTTドコモビジネスX株式会社
コミュニケーション・プラットフォームサービス部 部長

「NTT CPaaS」の事業責任者および技術統括として、APIを活用した企業のDX推進とコミュニケーション変革を牽引。NTTグループの通信基盤を活かした次世代プラットフォームの構築を指揮している。 また、通信の利便性と安全性を両立させる専門家として、フィッシング対策協議会のメンバーに参画。詐欺情報の分析や被害抑制に向けた活動を通じ、安心・安全なデジタル社会の実現に寄与している。

「NTT CPaaS」の事業責任者および技術統括として、APIを活用した企業のDX推進とコミュニケーション変革を牽引。NTTグループの通信基盤を活かした次世代プラットフォームの構築を指揮している。 また、通信の利便性と安全性を両立させる専門家として、フィッシング対策協議会のメンバーに参画。詐欺情報の分析や被害抑制に向けた活動を通じ、安心・安全なデジタル社会の実現に寄与している。

目次
  1. まず「どこが問題か」を数字で特定する
  2. すぐ着手できる運用改善——3つの基本
  3. 1〜2ヶ月かけて仕組みをつくる改善
  4. 自動架電システムが必要になるタイミング
  5. 自動架電システムを選ぶ4つの確認ポイント
  6. まとめ——架電効率改善の優先順位
  7. よくある質問

2026.06.25