自動架電(オートコール)とは|仕組み・向いている企業・選び方
月間数千件以上の架電業務がある企業向けに、自動架電の仕組み・IVR連携型との使い分け・導入後に変わること・CRM連携と法的確認ポイントを実務目線で整理しています。向いている企業・向いていない企業の選定基準もあわせて解説。
鈴木 伸吾(監修)
コミュニケーション・プラットフォームサービス部 部長
2026/06/15
「1日何百件もリストへ電話をかけているのに、実際につながるのは2〜3割」「督促の電話を毎日かけ続けるオペレーターのモチベーションが続かない」——そういった状況に対処する手段として、自動架電(オートコール)を検討する企業が増えています。
自動架電は、電話番号リストへの発信・音声案内の再生・プッシュ操作の受け付け・不在時の再試行をシステムが担う仕組みです。応答のあった案件だけにオペレーターが集中できるため、架電量を維持しながらオペレーター1人あたりの有効対応件数を増やせます。
ただし月間架電件数が少ない・個別対応が中心の業務では費用対効果が出にくいことがあります。向いている企業・向いていない企業の判断から、仕組み・活用シーン・選定基準までを実務目線で整理しています。
この記事はこんな方へ
- 自動架電の導入が自社に向いているか判断したい
- オートコール型とIVR連携型の使い分けが分からない
- CRM連携・法的確認・サービス選定のポイントを一通り把握したい
まず確認——自社に向いているか
導入判断の出発点は「月間架電件数」「定型対応率」「顧客層」の3点です。この3点を把握すると費用対効果の試算と運用設計が進みます。
| 判定 | 状況・条件 | 補足 |
|---|---|---|
| ✓ 向いている企業 | 月間架電件数が数千件以上あり人力での処理が限界 | 100件規模では固定費に対してROIが出にくい |
| 督促・リマインド・アポ確認など定型対応の割合が高い | 個別対応が多い業務は人力との組み合わせが必要 | |
| CRMへのリアルタイム連携でフォローアップを自動化したい | API連携なしでは手動工数が残る | |
| SMS不達のユーザー(固定電話・高齢者)への対応が必要 | 音声で届けることで到達率を補完できる | |
| ✗ 向いていない企業 | 架電件数が少なく個別対応の比率が高い | 固定費に対してROIが出にくい |
| 顧客との温度感のある関係構築が最優先の業務 | 機械音声は人の温かみを代替できない |
2種類の方式と使い分け
自動架電には「録音音声型(オートコール)」と「IVR連携型」の2種類があります。
| 方式 | 仕組み | 向いている用途 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 録音音声型(オートコール) | 音声を一斉送信。双方向操作なし | 緊急連絡・一方向の確実な通知 | 顧客の反応を収集できない |
| IVR連携型 | 音声案内後にプッシュ操作を受付・分岐・記録 | 督促・見込み客選別・アンケート | シナリオが複雑になると離脱率が上がる |
用途別の主な活用シーン
オートコールが活用される主な場面を紹介します。
督促・リマインド業務
未払いのリマインドや期限前の確認連絡は、自動音声で十分に機能します。オペレーターは対応が困難な案件だけに集中でき、架電量を維持しながらコストを抑えられます。18〜20時の時間帯は日中比で応答率が高まる傾向があり、オペレーターの負担なしにこの時間帯に架電できることもメリットです。単発架電より複数回のリトライを設計することで到達率改善が期待できます。
電話営業(テレアポ)のプレコール
大量リストへ一斉発信し「興味がある方は1番を」と反応を収集します。応答した顧客のみにオペレーターが対応するため、断られ続ける体験を構造的に減らせます。2026年10月施行のカスタマーハラスメント対策義務化を背景に、オペレーターを過酷な業務から守る手段としての採用も増えています。
高齢者の安否確認・定期連絡
定期的な自動架電で安否を確認し、応答なしの場合は担当者に引き継ぐフローを設計できます。固定電話での利用が多い高齢者層への対応として、SMSではなく音声で届ける方式が有効です。電話がつながらなかった場合の着信履歴で折り返しを促す設計も組み合わせられます。
アンケート・世論調査
音声で質問を読み上げ、プッシュ操作で回答を収集します。大量サンプルを短期間で回収でき、自動で結果を集計できます。調査規模や回答パターンに応じてシナリオを設計することで、必要な精度のデータを効率よく収集できます。
導入後の効果
最初に変わるのはオペレーターの「電話をかける仕事」の中身です。応答してくれた顧客だけを対応できるようになるため、断られ続けるストレスが構造的に減ります。
KPIの見方も変わります。「架電件数」よりも、「有効到達率」と「音声を最後まで聞いた完了率」を主要KPIとして設定することを推奨します。不在・留守電の判定精度が低いとリソースを浪費するため、判定精度の高さがサービス選定の重要な軸になります。
CRM連携が整うと、架電後のフォローアップが自動化されます。プッシュ操作の結果がCRMにリアルタイムで反映されることで、「電話が終わったらCRMに手入力する」という後処理の工数がなくなります。またSMSやメールでのフォローの自動化も実現できます。
運用で注意するべきこと
オートコールの運用を行う際に、注意するべきことを紹介します。
音声シナリオの設計が離脱率を決める
受話後数秒で「自動音声だ」「録音だ」と判断されると即切りされます。合成音声(TTS)のピッチや速度を人間の発話間隔に近づける微調整が離脱率に影響します。リストの属性に応じて接続秒数を制御することで、機械的な印象を和らげる効果もあります。
またIVRを活用する際は、選択肢を3〜4つに絞り、シナリオはなるべく短く1階層に収めることで、離脱率が下がる傾向があります。より複雑なアンケートをとりたい場合は、途中でSMSに切り替えてWebへ誘導するフォールバックを使ってください。
法的注意事項
特定商取引法により、拒否した番号への再架電は禁止されています。ブラックリスト管理がシステム側で自動化されているかを選定時に必ず確認してください。
また、個人宅への架電は用途によって事前同意(オプトイン)の取得が必要なケースが多いため、導入前に法務部門や顧問弁護士への確認をお勧めします。CRMにデータが連携される場合、個人情報保護法への準拠(安全管理措置など)も必須の確認事項です。
鈴木 伸吾 (監修)
シナリオ設計のポイントとして、選択肢は3〜4つに絞り、階層は1階層以内が理想的です。合成音声のピッチ・速度の微調整が離脱率に直結するため工夫が必要です。またリストの属性別にシナリオを変えることで応答率の改善が見込めます。成果を確認しながらPDCAを回すことが重要です。
サービスを選ぶときに確認すべき5点
自動架電のサービスを選定する際に、以下5点が確認のポイントになります。
①国内キャリア直接接続・国内発信可能な電話番号
海外回線経由のサービスは音声遅延や到達率の不安定が起きやすい傾向にあります。大量架電での品質維持には国内直収接続が重要です。また海外回線を経由し海外からの発信に見える場合、迷惑電話と判断され電話に出てもらえない確率が高まります。海外からの着信に注意するように、警視庁からも注意喚起がされているため、国内発信であることは施策を成功させるための必須条件です。
② CRM連携の品質
オートコールはCRMとの連携が必須です。オートコールでどのような対応がされたのか、その後有人対応が必要かどうかなどを判断する必要があるからです。実際の業務を想定しながら、WebhookやAPIのイベント粒度(どのタイミングで何の情報が取得できるか)を選定前に確認しましょう。
③ 不在時のSMSフォールバック
電話がつながらなかったり、すぐに切電された場合、SMSの自動送信が可能だと自動化の幅が大きく広がります。その場では電話に出られなくても、SMSであれば追って確認できるため、折り返し連絡を促したり、Webアンケートへ誘導することができるためです。音声とSMSを同一プラットフォームで管理できると設計がより容易になります。
関連記事:IVR×SMS連携で電話対応を自動化する方法 - 仕組み・他チャネルとの違い・導入判断・サービスの選び方
④ 同時架電数(CPS)の拡張性
大量のリストに対して架電を行う場合、同時接続数が重要になります。サービスによっては固定のことがあり、求めているスピード感を実現できない可能性があります。トラフィックに応じて動的に拡張できる基盤かを確認しましょう。
⑤ ブラックリスト管理の自動化
前述の通り、特定商取引法により、拒否した番号への再架電は禁止されています。手動での管理は限界があるため、自動管理機能がシステム側で担保されているかを必ず確認しましょう。
コスト構造——TCO(総コスト)で比較する
費用は「初期費用」「月額固定費」「通話従量料金」の3層です。料金表の安さだけで比較すると、CRM連携の開発費・シナリオ変更の外注費・不達による機会損失を見落とします。選定時はこれらを含めたTCO(総コスト)で判断してください。
| コスト項目 | 見落とされやすい内容 |
|---|---|
| 初期費用 | API連携開発費・シナリオ設計費・テスト工数 |
| 月額固定費 | 基本料金・管理ツール費・サポート費 |
| 通話従量料金 | 架電件数×単価。不達案件も課金対象になるサービスがある |
| 運用工数 | シナリオ変更・ブラックリスト更新・データ確認の内部工数 |
まとめ——導入判断のチェックリスト
自動架電が効果を発揮するのは、以下の3条件が揃っている企業です。
- 月間架電件数が多い:数千件以上で固定費に対するROIが出やすい
- 定型対応の割合が高い:督促・リマインド・アポ確認などの反復業務が中心
- CRM連携でフォローアップを自動化したい:架電後の手入力工数をゼロにしたい
選定の核心はCRM連携の品質と国内キャリア直収接続の2点です。加えて、不在時のSMSフォールバックとブラックリスト自動管理がシステム側で担保されているかを確認してください。
まず月間架電件数と定型対応の割合を把握することが、導入判断の出発点です。
サービス▶ Moments(コミュニケーション・フロービルダー)- ノーコードで始める業務連絡の自動化
「Moments」は、IVR(音声自動応答)を含む各種メッセージングサービス(SMS・Voice・メールなど)を高度に融合させ、顧客との双方向コミュニケーションを自動化するプラットフォームです。ドラッグ&ドロップの直感操作で、担当者が直接フローを構築・修正。開発のリードタイムゼロで、現場主導のスピード感ある運用が可能です。
よくある質問
自動架電は法律上問題ありませんか?
特定商取引法と個人情報保護法の遵守が必要です。拒否した番号への再架電は禁止されており、ブラックリスト管理がシステム側で自動化されているかを確認してください。個人宅への架電は事前同意の取得が必要なケースが多いため、法務部門または顧問弁護士への確認をお勧めします。
既存のCRMと連携できますか?
API連携に対応しているサービスであれば可能です。NTT CPaaS「Voice API」はAPI/Webhook経由での連携設計が可能で、顧客属性に応じた動的シナリオを構築できます。選定時はWebhookのイベント粒度(どのタイミングで何の情報が取得できるか)を事前に確認してください。
不在・留守電はどうなりますか?
不在・留守電の判定は技術的に難しいケースがあるため、あらかじめ設定したリトライスケジュールで再発信を行う設計が基本です。判定精度はサービスによって差があります。不在時にSMSを自動送信してWebへ誘導するフォールバック設計を組み合わせると、到達率の底上げができます。
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コミュニケーション・プラットフォームサービス部 部長
「NTT CPaaS」の事業責任者および技術統括として、APIを活用した企業のDX推進とコミュニケーション変革を牽引。NTTグループの通信基盤を活かした次世代プラットフォームの構築を指揮している。 また、通信の利便性と安全性を両立させる専門家として、フィッシング対策協議会のメンバーに参画。詐欺情報の分析や被害抑制に向けた活動を通じ、安心・安全なデジタル社会の実現に寄与している。
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2026.06.15
鈴木 伸吾 (監修)
IVR連携型の実務フロー:発信→顧客がプッシュ操作→結果をAPIでCRMへ即時反映→「1」押下なら担当者へ転送、「2」押下ならSMSでURL送信、無応答なら1時間後に再試行。API連携の柔軟性に加え、「受話後の音声再生開始までの待機時間」も応答率に直結します。待機時間が長いと冒頭離脱率が上昇します。