オートコール(自動架電)の仕組みと使いどころ|SMS連携・CRM連携まで

大量架電の自動化・督促・安否確認などに使われるオートコール(自動架電)の仕組みと導入判断を実務目線で整理。「自社に向いているか」「SMS・CRMとどう組み合わせるか」「法的に何を気をつけるか」まで、導入を検討している担当者向けにまとめています。

鈴木 伸吾(監修)

鈴木 伸吾(監修)

コミュニケーション・プラットフォームサービス部 部長

「テレアポのスタッフが断られるたびに疲弊している」「督促業務に人件費がかさんでいる」——こうした課題に対して、オートコール(自動架電)は効果を発揮しやすい手段です。電話番号リストに対してシステムが自動で発信し、応答した相手だけを担当者につなぐ仕組みで、1人のスタッフが1日にかけられる件数を大幅に超えた処理が可能になります。

この記事では、仕組みの基本から業界別の活用事例、SMS・CRM連携による実務フロー、サービス選定のポイントまで整理しています。

この記事でわかること

  • オートコールが自社の業務に合っているかどうか
  • 架電→不在→SMS自動送信→CRM反映という実務フローのイメージ
  • サービス選定で実際に差が出る確認ポイント

オートコールとは——架電業務をシステムに任せる仕組み

オートコールは、電話番号リストに対してシステムを用いて、自動で一斉発信を行う仕組みです。IVR(自動音声応答)技術を組み合わせることで、ユーザーからの回答を数字で得ることができ、その結果をデータベースに自動で保存できます。

1件ずつ手でかける業務と比べると、処理スピードが全く異なります。人が1日で架電できる数は100件前後が限界ですが、システムなら同じ時間で数千件を処理できます。不在・切断・拒否を自動で除外してくれるため、担当者は「応答した件数」だけに集中できます。

比較 人による架電 オートコール
1日の処理件数 100〜200件(通話・待機込み) 数千件(不在・拒否を自動除外)
スタッフの負担 断られるストレスが蓄積する 一次対応はシステムが担うため直接の拒絶がない
結果の記録 手作業でCRMに入力するケースが多い 押したボタン番号・通話時間を自動でデータベースに記録
時間外対応 勤務時間に依存する 設定した時間帯に自動発信(時間帯制御が必要)
鈴木 伸吾

鈴木 伸吾 (監修)

人的コスト削減以上に、データの即時回収が大きな利点です。リード獲得後できるだけ早く接触することが成約率向上につながるとされており、API連携でリアルタイムにデータベースへ反映する仕組みを整えておくことが重要です。不在時の再発信を2〜3回に設定すると応答率が上がりやすいですが、それ以上は苦情の原因になる場合があります。

自社に向いているか——状況チェック

オートコールは「定型的な連絡を大量にかける」業務に向いています。逆に、個別の事情が多い商談や繊細な状況を要する対応には向きません。

状況 具体例 向いているか
月間300件以上の定型架電がある 督促・リマインド・予約確認・アンケート回収など ○ 向いている
担当者が断られることにストレスを感じている テレアポ・新規開拓・回収業務のオペレーター ○ 向いている
時間外・休日でも連絡を届けたい 安否確認・緊急通知・行政連絡 ○ 向いている
個別の事情を聞きながら話し合う必要がある クレーム対応・複雑な商談・初回の信頼構築 △ 向いていない
高齢者層・機械音声への抵抗感が強い顧客が多い 医療・介護・シニア向けサービスの一部 △ 慎重に

判断の目安として、「定型的な案内・確認・督促が月間100件を超えている」なら導入効果が出やすい状況です。それ以下の件数では、コスト対効果が合わない場合があります。

オートコール導入の効果

図:オートコール導入の効果

電話対応の現場が、具体的にどう変わるかを4点で説明します。

① テレアポ担当の心理的負担の軽減

テレアポや督促業務でスタッフが直接「拒否」「無言切断」を受け続けることのストレスは、離職率の高さにつながっています。オートコールが一次対応を担うことで、担当者は「応答した・興味を示した」人とだけ会話することができます。令和8年10月に施行されるカスタマーハラスメント対策の義務化(令和7年6月改正)の観点からも、スタッフを守る環境づくりとして有効です。

② 応対品質のばらつきがなくなる

録音された音声を使うため、「誰が架電しても同じ内容・同じトーン」で案内できます。法的な注意事項の読み上げや金融機関の督促連絡など、内容を正確に伝えないといけない業務で特に効果があります。プロのナレーターによる録音や高品質な音声合成(TTS)を使えば、企業の信頼感を保ちながら自動化できます。

③ 結果のデータ化が容易になる

「何番を押したか」「何秒で切ったか」「何回かけてつながらなかったか」が自動で記録され、その後のアクションに役立てることができます。例えば「1番を押した人だけを翌日に担当者が架電」「3回不在だった人にSMSを自動送信」といったルールをあらかじめ設定しておくことで、人の判断が介在しない追客フローをつくることができます。

④ 24時間365日稼働が可能になる

時間帯を設定すれば、夜間・休日・繁忙時でもシステムが架電を続けます。安否確認・緊急通知・予約リマインドなど、タイミングが重要な連絡に特に向いています。

鈴木 伸吾

鈴木 伸吾 (監修)

単純な業務効率化だけでなく、有人対応を「応答した件数だけに絞る」設計が重要です。不在・拒否を自動除外して担当者につなぐプレディクティブ型の構成にすることで、1人あたりの対応件数が大幅に増えた事例があります。導入後は「架電成功率」「担当者への接続率」をKPIとして追うと改善サイクルが回りやすくなります。

業界別の活用事例——どんな成果が出ているか

図:業界別の活用事例

オートコールは業種によって使い方が変わります。自社の状況に近いケースを参考にしてください。

コールセンター・営業:見込み客の絞り込み

膨大なリストに一斉発信し、「商品に興味がある方は1番を」と案内して反応した人だけをリスト化します。担当者はそのリストにだけ電話をかけるため、成約率が高い状態で商談を始められます。つながらない番号・拒否された番号は自動で除外されるので、リストの鮮度も保てます。

金融機関:督促・リマインド連絡

カード会社や地方銀行で支払い期限が過ぎた顧客への初回連絡に使われています。「うっかり忘れ」の顧客に対しては、自動音声によるリマインドだけで回収できるケースが多く、人が直接指摘するよりも顧客の心理的負担が少ないという特性があります。督促スタッフは対応が難しい案件だけに集中できるため、回収率とコスト削減を同時に実現できます。

自治体・公共機関:緊急連絡・行政案内

災害発生時の安否確認、ワクチン接種の予約案内、選挙の情勢調査など、数万人単位の住民への一斉連絡に使われています。人の手では実現できないスピードで情報を届けられる点が公共機関で評価されている理由です。

医療・介護現場:予約リマインドや服薬確認

予約前日の確認電話・服薬確認・次回検査の通知など、こまめな連絡が必要な業務をスタッフの手から切り離せます。電話に出られなかった場合に自動でSMSを送り、Webから予約変更できる導線を設けることで、無断キャンセルを大幅に減らせます。

SMS・CRM連携で「架電だけで終わらない」フローをつくる

オートコール単体でも効果はありますが、「架電してつながらなかった相手をどうするか」が実務の課題として残ります。SMSとCRMを組み合わせることで、架電後の追客フロー全体を自動化できます。

【実務フローの例】

  1. 番号リストに一斉架電
  2. 応答した相手が「1番」を押す → CRMに「興味あり」として自動記録 → 翌日、担当者が優先架電
  3. 3回不在だった番号 → SMSを自動送信(「ご連絡がつながらなかったため、詳細をSMSでお送りします」+URLリンク)
  4. SMSのURLをクリックした履歴がCRMに反映 → 担当者がタイミングを見て対応

このフローを組んでおけば、「架電→不在→SMS→クリック→担当者対応」が人の判断なしで動き続けます。SMSは開封率が高く(自社調べ:90%以上)、URLを添えることで電話では伝えにくいWebページへの誘導もできます。

鈴木 伸吾

鈴木 伸吾 (監修)

SMS自動送信のタイミングと文言設計が応答率に影響します。「3回不在ならSMS」など条件を明確にしておくことで、リスト全体を追跡しながら人的コストを最小化できます。CRM連携のAPIが充実しているサービスを選ぶと、後からフローを変更しやすくなります。

サービス選定で実際に差が出る4つの確認ポイント

図:サービス選定で実際に差が出る4つの確認ポイント

導入後に「こんなはずじゃなかった」となりやすいのが、運用に入ってから気づく設定の細かさです。以下の4点は事前に確認しておく価値があります。

① 不在時の再発信ルールをどこまで設定できるか

何回かけてつながらなかったら次のアクションへ移るかを設定できることが重要です。再発信回数・間隔・SMSへの切り替え条件を自社でカスタマイズできるサービスを選ぶと、運用が安定します。

② リストの自動管理(ホワイトリスト/ブラックリスト)

「拒否した番号には二度とかけない」仕組みが備わっているかは、特定商取引法への準拠と運用コスト削減の両方に直結します。手動で除外リストを管理すると、ミスのリスクと工数が積み重なります。

③ 料金体系と運用パターンの合い方

毎日大量にかけるなら「月額固定+通話単価が安いプラン」、スポット利用なら「固定費なし・完全従量型」が合います。クラウド型であれば初期費用は数万円程度が多いですが、オンプレミス型や大規模カスタマイズは高額になるため、自社の架電頻度でシミュレーションしてから選ぶことを推奨します。

④ 通話品質と国内音声基盤・国内電話番号

音声の品質がわずかに悪いだけで、機械的な印象を強めて即切りのリスクが上がります。NTTグループの国内音声基盤を使うサービスであれば、低遅延で安定した通話品質を確保できます。

また、海外回線を経由し海外の電話番号からの発信になると、迷惑電話と判断され電話に出てもらえない確率が高まります。海外からの着信に注意するように、警察庁からも注意喚起がされているため、国内電話番号を利用できるかどうかは必ず確認しましょう。

鈴木 伸吾

鈴木 伸吾 (監修)

単価だけでなくAPIの柔軟性と再試行の仕組みも重視してください。不在時の再発信ルールや結果取得の方法によって、運用負荷が大きく変わります。特定商取引法や改正個人情報保護法に準拠したホワイトリスト管理機能がないと、リスク管理の手間が増えます。

運用前に確認しておく法的な3点

オートコールは適切に使えば合法ですが、以下の3点は運用開始前に必ず整備してください。

確認事項 具体的な対応
拒否番号への再発信禁止(特定商取引法) 「もうかけないでください」と言われた番号は自動でブラックリストに入る機能が必須。手動管理は漏れが出やすい
個人情報の管理(個人情報保護法) 電話番号リストの取得経緯を明確にし、安全なサーバーで管理する。外部から調達したリストの使用は法的確認が必要
発信時間帯の管理(電気通信事業法・業界ガイドライン) 一般的に夜9時以降・早朝8時以前の架電は避ける。個人宅への架電は事前同意を取得しているかどうかも確認する

適切な法令遵守のもとで行われるオートコールは違法ではありません。上記3点を整備した上で運用すれば、法的リスクを抑えながら活用できます。導入前にサービス側の拒否番号管理機能の有無を確認しておくと、後から手動運用に切り替える手間がなくなります。

コミュニケーション・フロービルダー「Moments」について

「Moments」は、IVR(音声自動応答)を含む各種メッセージングサービス(SMS・Voice・メールなど)をノーコードで組み込めるフロービルダーです。ドラッグ&ドロップの直感操作で、担当者が直接フローを構築・修正。開発のリードタイムゼロで、現場主導のスピード感ある運用が可能です。

0120・050等の国内番号に対応し、設定代行を含むスムーズな立ち上げを支援する日本語サポートを提供しているため、導入初日から迷わず運用できます。

サービス
NTT CPaaS NTT CPaaS

▶ Moments(コミュニケーション・フロービルダー)- ノーコードで始める業務連絡の自動化

「Moments」は、IVR(音声自動応答)を含む各種メッセージングサービス(SMS・Voice・メールなど)を高度に融合させ、顧客との双方向コミュニケーションを自動化するプラットフォームです。

まとめ——オートコール導入の判断を整理する

オートコールは「定型的な架電を大量に・繰り返し・一定の品質で」行う業務に向いています。月間数百件以上の架電がある、担当者の負担を下げたい、架電結果をデータとして使いたい——そのどれかに当てはまるなら、効果が出やすい状況です。

  • 架電の自動化で担当者は「応答した件数」だけに集中できる
  • SMS・CRM連携を組み合わせると「架電→追客→担当者対応」が人の判断なしで動く
  • サービスを選ぶ際は「再発信ルールの柔軟性」「ホワイトリスト管理」「APIの充実度」「通話品質」の4点で比較すると判断しやすい
  • 法的には「拒否番号の管理」「時間帯の制御」「リストの取得経緯」の3点を先に整備する

よくある質問

Q1.

オートコールとIVRの違いは?

A.

オートコールは「こちらから発信する(アウトバウンド)」自動架電システムです。IVRは「かかってきた電話を自動受付する(インバウンド)」システムです。組み合わせることで、発信→応答収集→担当者への転送という流れを自動化できます。

Q2.

オートコールのシステムにはどんな種類がありますか?

A.

大きく「録音音声再生型」と「IVR連携型」の2種類があります。録音音声再生型は一方向の情報伝達(緊急放送・休業案内など)に向いています。IVR連携型は番号入力で分岐でき、アンケート・督促・見込み客の絞り込みなどに使われます。

Q3.

個人宅への架電でも使えますか?

A.

技術的には可能ですが、特定商取引法(電話勧誘販売)の規制を受けるケースが多く、事前同意の取得と拒否番号の管理が必要です。個人宅への架電は法的な確認を十分に行った上で実施することを推奨します。

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監修者 鈴木 伸吾(監修)
この記事の監修 鈴木 伸吾(監修)
NTTドコモビジネスX株式会社
コミュニケーション・プラットフォームサービス部 部長

「NTT CPaaS」の事業責任者および技術統括として、APIを活用した企業のDX推進とコミュニケーション変革を牽引。NTTグループの通信基盤を活かした次世代プラットフォームの構築を指揮している。 また、通信の利便性と安全性を両立させる専門家として、フィッシング対策協議会のメンバーに参画。詐欺情報の分析や被害抑制に向けた活動を通じ、安心・安全なデジタル社会の実現に寄与している。

「NTT CPaaS」の事業責任者および技術統括として、APIを活用した企業のDX推進とコミュニケーション変革を牽引。NTTグループの通信基盤を活かした次世代プラットフォームの構築を指揮している。 また、通信の利便性と安全性を両立させる専門家として、フィッシング対策協議会のメンバーに参画。詐欺情報の分析や被害抑制に向けた活動を通じ、安心・安全なデジタル社会の実現に寄与している。

目次
  1. オートコールとは——架電業務をシステムに任せる仕組み
  2. 自社に向いているか——状況チェック
  3. オートコール導入の効果
  4. 業界別の活用事例——どんな成果が出ているか
  5. SMS・CRM連携で「架電だけで終わらない」フローをつくる
  6. サービス選定で実際に差が出る4つの確認ポイント
  7. 運用前に確認しておく法的な3点
  8. コミュニケーション・フロービルダー「Moments」について
  9. まとめ——オートコール導入の判断を整理する
  10. よくある質問

2026.06.11